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音色1

音色は音高や音価と違って記譜することが非常に難しい要素です。
ある音がクラリネットで演奏される場合とヴァイオリンで演奏される場合、当然、音色は異なりますし、オーケストラの第一ヴァイオリンセクションが演奏しても、ソロのヴァイオリンとは異なった音色になります。あるいは、あるメロディを第一ヴァイオリンセクションが演奏するのとヴィオラセクションが演奏する場合、例え同じ音域であっても異なった音色に聞こえます。

逆に、同じ楽器が演奏する音も、音の高さや強さによって音色は異なります。また、オーケストレーションでブレンディド・トーンと呼ばれる音色があるように、どのような楽器の組み合わせで、どのような音域を、どのような強さで演奏するか、更に、ミュージックコンクレートや電子音楽ということまで含めれば、音色の違いは無数にあります。

しかし、このように音色が違うという区別が可能であるのに、それを西洋音楽の伝統的な記譜法では曖昧にしか表現することはできません。4分音符が60というテンポで、8分音符の一点ハは、その音高、音価ともに概ね確実に記譜できるのに拘わらず、音色に関しては、それがフルートで、レジェーロかつノン・レガートで、というような情報の他、音色に関しては楽譜の前後関係や作品のスタイルなどから推察されるのみです。

では音色というのは補助的、修飾的な音の性質なのでしょうか? 
前回のコラムでも触れた通り、音高の認識に音色が影響を及ぼします。また、例えばフォルティッシモで演奏されるチェロの音はステレオの音量をいくら絞ってもフォルティッシモに聞こえます。つまり、音色は音の強弱の認識とも大きく関係しているようです。
定義し難いにも拘わらず、音色とはもしかしたら非常に重要な性質かもしれません。

次回以降、更に音色について考えてみます。

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