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音色2

今回も音色について考えてみましょう。音色というのは読んで字のごとく「音の色合い」のことです。日本語や中国語では「音色」、英語・フランス語では「timbre」、ドイツ語で「Timbre」となります。また、例えば「ton画像e color」や「quality」などという表現もあります。他にも音色に関係する音楽用語として、「texture」というものがあります。これは、ある瞬間やある一定の時間内で響きあっている音の総体を静的にとらえたもの、つまり音楽の全体的な色彩のことだと言えます。さらに、「半音階の」という意味の「chromatic」はギリシャ語の「chroma」という色彩や色合いという言葉に由来します。音高の違いが色彩を喚起するからでしょうか。「f」や「p」にしても、それぞれイタリア語で「元気に」「精気なく」ということですから、音量というよりも音質に関わっている部分が大きい、と考えられるかもしれません。

そうしてみると、音色というものは補助的、修飾的な音の性質というよりもむしろ、画像音の最も大切な性質なのかもしれません。西洋音楽の五線記譜法では非常に曖昧にしか表現されるしかないのにも拘わらず、です。実際には、音色というものは定量的に、つまり五線記譜法を前提にすれば作曲家にとって「自由に」扱い難かったために作曲家、理論家によって長く蔑ろにされてきたわけです。

ただし、演奏者は経験的に音色に対する配慮をかかさなかったのかもしれません。というのも、今日でも優秀な奏画像者は、オーケストラやアンサンブルの中で演奏するときにスコアを勉強し他の楽器とのバランスに気を配ったり、ソロで演奏する際にもホールの大きさや聴衆の数や服装などから音の響き方を計算して自分が理想とする音楽(実際にその時に自分に聞こえている音楽ではなく)が聴衆に届くように弾き方、つまり音の質をその場で調整します。実際には殆ど書かれていない音の性質を自分の出す音に書き込んで聴衆に届けてきた訳です。

音色が音楽の最も重要な要素だという認識は、20世紀始めのヴァレーズによる実験が暗示し、そして戦後、ポスト・シリアリズムとしてドビュッシーの再発見がなされるまで待たなくてはなりませんでした。

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