「演奏家としてどのように音楽づくりをしていくか」 「音楽講師としてどんな音楽づくりをしていくように導いていくか」…こういったことを考えていく上で、楽譜を読み解いていくことは必要不可欠ですね。本シリーズでは西洋音楽の楽譜の「読み方」 というものを再考していきます。
第1回では、バロック期から20世紀までの西洋音楽に普遍的に見られる「対立の構造」を皆さんと一緒に考えていきます。
「対立するもの」って何でしょう?
「大人」⇔「子供」、「山」⇔「海」、「全体」⇔「部分」…などといえば、みなさん「対立するもの」をどんどんイメージすることができるのではないでしょうか。でも、「動物」⇔「植物」という対立の中では、先ほどの「大人」⇔「子供」は同じ「動物」に入ります。このように、あるときには対立しているものが、他のときには対立しないということがあり、これを文脈の違いといいます。
実は音楽のあらゆるところ------形式、セクション、テーマ、終止形、メロディー、伴奏、和音進行など-----にもさまざまなレベルでの対立の発生、解消、統一があるのです。これが西洋音楽の最も基本的な原理で、クラシック音楽を演奏するときにはこの原理を楽譜から読み取れるかどうかというのがとても大事なことなのです。今回はまずこの原理を分かりやすく学んでいきます。
◆下の譜例にはどんな対立構造があると思いますか?◆ |
|
バルトーク/ミクロコスモスNo.75より |
|
バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータNo.2より |
響きの中から対立構造を聴き取ることができるようになってくると、音楽の聴こえ方が変わります。また、楽譜から響きの意味を読み取っていくことができるようになると、演奏がより立体的になるだけでなく、指導や作曲・編曲にも活かせます。
「難しそう」と思っても、ちょっと見方を変えるだけでたちまち見えてくる…そんな驚きを体験しませんか? |